薄型スマホカメラやドローンの飛行時間延長を可能にする薄型軽量レンズを開発

Photo credit: Dan Hixson/University of Utah College of Engineering

アメリカのユタ大学電気コンピューター工学科准教授のRajesh Menon氏は、従来のカメラレンズよりもはるかに薄くて軽い光学レンズを開発したと発表した。従来のスマートフォンのカメラに使われているレンズは数mmの厚みがあるが、この新しいレンズはその1000倍薄く、100倍軽いにも関わらず、同程度の光学性能を備えている。研究成果は『Proceedings of the National Academy of Sciences』に論文「Broadband lightweight flat lenses for long-wave infrared imaging」として2019年10月7日に発表されている。

従来の曲面レンズでは、入射光は最終的にデジタル画像を形成する撮像センサーに到達するまでに、反射により経路が曲げられるが、新しいレンズでは全ての光がセンサーに向かうよう修正する工夫が施されている。その工夫はレンズ上の微細構造にあり、新しいタイプのポリマーと、微細構造の形状を計算するアルゴリズムを利用した製造プロセスを開発した。

「この微細構造は、レンズ上の非常に小さなピクセルと考えられます。個々の微細構造自体はレンズではありませんが、全体としてレンズとして機能します」とMenon氏は言う。この微細構造を設けることで、レンズは曲面ではなくフラットにでき、人間の髪の毛の20倍以上の薄さにできる。さらに、暗闇で物体を観測するための熱画像処理の機能まで追加されている。この薄型レンズにより、スマートフォンのカメラ部分が突起することもなくなり、さらには熱画像処理機能により、サーモグラフィにも対応できる。さらに、新しいレンズはガラスではなくプラスチックで製造できるため、製造コストも低減できると期待される。

携帯電話への応用も望まれるが、最も緊急に技術が利用されるのは軍事用軽量ドローンだという。これら軍事用軽量ドローンは夜中の長時間に渡るミッションや山火事のマッピング、そして自然災害の被害者捜索に利用されるものだ。加えて、長時間使える軽量な夜間カメラとしての用途も考えられている。

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