自動化対象の職種、失業リスクに加えて病気や死亡率も高いという調査

仕事の自動化が進むと、新たに仕事が増えたり、これまでの仕事が減ったりすると言われている。世界経済フォーラム(WEF)のデータによると、2025年までに9700万件の雇用を創出する一方、8500万件の雇用が喪失するという。

失業や不安定な雇用は健康にも悪影響を与えることは知られているが、テクノロジーの発展と雇用、健康の関係について、大規模かつ長期的に調査した例はこれまでなかった。

コロンビア大学の研究チームは、ノルウェーで働く約80万人の賃金労働者を15年に渡り追跡し、自動化やアウトソーシングができる可能性の高い職業に就いている人は、失業期間が長く、けがや病気で障害を負ったり、死亡率が上がる可能性が高いと発表した。

調査では、RTI(Routine Task Intensity、定型業務集約度)と呼ばれる指標を使ってノルウェーの全労働者を335の職業に分類し、労働者の賃金と社会保障の履歴データを組み合わせて、2003年のRTI値と、2018年と2019年の雇用および健康との関係を分析した。調査対象としたのは、男性41万6003人、女性37万6413人で、2003年時の年齢は33~52歳だった。

結果から、RTIは長期的な雇用、身体障害、死亡率と強く結びついていることが分かった。死亡率の場合、平均値からやや高いRTI値の職業に就いている人は、2019年の死亡率の上昇に関連していた。この結果は、RTI値の高い職業は雇用の落ち込みに関連するという以前の調査とも整合すると、研究チームは語る。

RTIが高い仕事とは、決まった手順で繰り返される作業、いわゆるルーティンワークを指し、将来、テクノロジーの発展に伴い、自動化、アウトソーシング化されて、労働者の失業リスクも高まると考えられる。

RTI値の高い仕事に長期間従事していると、失業のリスクがさらに高まり、似たような求人も少なくなるため再就職が困難になる。失業リスクの高い仕事をしていることで、人々はストレスを抱え、不安やうつの傾向も強まる、と研究チームは分析している。

今回の調査は、人々が抱える仕事の種類にもっと注意を払うべきだと訴えている。自動化が進むにつれて、職種が人々の仕事の見通し、健康、寿命に及ぼす影響は、今後数年間でさらに重要性を増すかもしれない。

調査結果の詳細は、2021年9月24日に『Occupational and Environmental Medicine』で公開されている。

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