中空ファイバー導波路内の超放射現象を理論解析と組み合わせることで解明――光格子時計の小型化に期待 東大と理研

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中空ファイバー中の超放射のシミュレーション。下図は各時刻のビーム形状

東京大学と理化学研究所(理研)は2019年11月20日、中空ファイバー導波路内の原子集団による超放射を観測し、その挙動を明らかにしたと発表した。

超放射は、原子の集団が自発的に位相を揃えて光を放射する現象だ。超放射では、放射光の周波数が原子集団自身によって決定され、また放射光のピーク強度が原子数の2乗に比例する。そのため、超放射レーザーは、安定した周波数・強度の光が放射できるレーザーとして実現が期待されている。

中空ファイバーの断面図

そこで、研究グループは今回、多数の原子を導入できる中空ファイバー導波路を用いて超放射の実験的、理論的な研究を実施した。

実験系の概要

実験では、この中空ファイバーの中に、極低温ストロンチウム原子集団を導入。そして、これらの原子集団が励起する光を照射し、原子集団が放射する光のうち、中空ファイバーを導波するものだけを検出器で測定した。その結果、超放射光の周波数は、照射光によらず原子数密度に依存し、強度も原子数によって変化することを確認した。

超放射光の特性 (a)超放射光周波数のポンプ光の離調依存性(b)超放射光の中空ファイバーへの結合効率

また、原子集団が放射光を再び吸収・再放出するリンギングを観測。理論計算との比較から、リンギングは原子集団の固有モードの入れ替わりによって生じていることを明らかにした。

超放射光のリンギング

研究グループは、この研究の手法や結果について、非常に狭いスペクトルをもつ超放射レーザー実現の重要な基盤技術になると説明。また、重力による時間の歪みを測定できるほど精密な光格子時計の小型化への途を拓き、重力から標高を測定する相対論的測地などへの応用も期待できるとしている。

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