- 2019-12-31
- 技術ニュース, 機械系, 海外ニュース
- NASA, Neil Otte, Space Launch System(SLS), ボーイング, マーシャル宇宙飛行センター, ミシュー組立工場, ロケット
NASAは、2019年12月9日、アルテミス計画の一環で2024年に宇宙飛行士を月へ運ぶことを目的とする大型打ち上げロケット「Space Launch System(SLS)」を、ニューオーリンズのミシュー組立工場において一般に公開した。このロケットは「人類史上で最も強力なロケット」だという。
2019年12月5日にマーシャル宇宙飛行センターで行われたSLS液体水素タンクの試験では、実際のSLS液体水素タンクと同様の構造を持つテスト用タンクに、圧縮、張力、曲げの力を加え、数千個のセンサーで応力、圧力、温度を測定した。負荷試験中、高速度カメラとマイクで記録してタンク壁の座屈や亀裂を特定。実際の飛行時に予想される負荷の260%を超える過酷な環境にタンクを5時間さらし続け、タンクが破壊されるまで試験を続行したという。
チーフエンジニアであるNeil Otte氏は「今回、意図的にタンクを極限状態にさらして破壊させたことで、ロケット製造に役立つ追加データを得ました。SLSは、今後、数十年に渡り利用される予定で、タンク破壊時のデータはSLSの安全性と効率性向上に有意義な情報となります」と語る。
NASAとボーイングのエンジニアは負荷試験をシミュレーションしており、タンクの破壊箇所が予想と一致し、予想破壊荷重の誤差3%以内で破壊が生じたと報告している。シミュレーション結果が高精度で試験結果と一致したことから、エンジニアたちはタンク設計への高い信頼性が得られたとコメントしている。