- 2020-2-20
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- Eduardo Fernandez, ミゲル・エルナンデス・デ・エルチェ大学(UMH), ユタ電極, 中毒性視神経症, 人工内耳, 治験

Russ Juskalian/MIT
脳に直接信号を送ることで全盲者に視覚を獲得させる治験がスペインのミゲル・エルナンデス・デ・エルチェ大学(UMH)で行われ、成果を上げている。
UMHの研究者たちは、全盲女性の後頭部の視覚野に100個の電極を有する「ユタ電極」と呼ばれる剣山型電極を移植。メガネに搭載したカメラからの映像をコンピュータ処理して電気信号に変換し、この電気信号を移植した電極を介して被験者の脳に直接送ると、被験者は極めて低解像度ながら視覚を獲得できた。天井の照明や紙に印刷された基本的な図形などを認識できるようになり、パックマンのようなゲームもすることができたという。
研究を主導したUMHのEduardo Fernandez博士は、人体と相互作用する電気機器はさまざまあり、その一つである人工内耳は自分たちが開発したデバイスの聴覚バージョンだと説明する。
被験者は、42歳の時に中毒性視神経症で視力を完全に失い、光の認識すらできなくなっていた57歳の女性。治験は6カ月で終了し、安全のため電極は取り外された。Fernandez博士は「彼女は我々の最初の被験者だった。今後数年かけて、あと5人の全盲者に治験を行うつもりだ」と述べている。
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