- 2020-7-6
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- Nature Sustainability, PEF(ポリエチレンフランジカルボキシレート), PET(ポリエチレンテレフタレート), ダラム大学, バイオマス, バイオ廃棄物, プラスチックボトル, 二酸化炭素, 石油
ダラム大学の研究チームは、バイオ廃棄物と発電所から回収された二酸化炭素からプラスチックボトルを作る手法を開発した。コスト的にPETと競合できる代替品になる可能性があり、研究成果は2020年6月1日、『Nature Sustainability』に掲載された。
ほとんどのプラスチックは石油から作られているが、私たちが必要とする炭化水素の多くは化学的な処理や農作物から作ることもできる。ただし、そのプロセスはよりコストがかかり、また食用作物と競合する原料を必要とする場合が多い。
そこで研究チームは、産業的に排出される二酸化炭素と非食品由来のバイオマス、具体的にはサトウキビの圧搾残滓などの植物材料を用いるプロセスを考案した。このプロセスによって作られるプラスチックポリマーのPEF(ポリエチレンフランジカルボキシレート)は、水や炭酸飲料の容器に使用されている石油由来のPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂と機能的に似ているものだ。
このプロセスを詳細に解析したところ、石油ベースのプロセスに比較して排出量とエネルギー消費を最大40.5%削減できると分かった。PEFの製造プロセスでは、排出する温室効果ガスは現状で約3分の1少なく、さらに熱と電力を得るために天然ガスではなく再生可能資源を使用することで、さらに削減できる。
PEFプラスチックの製造コストはPETよりも高いが、廃棄物を使用しており、また、強度が高いためボトルに必要なプラスチックを25%削減できる可能性がある。新しいPEFプロセスは、ボトル1本あたりの製造コストを従来と同じかそれ以下にできるとしている。