米オークリッジ国立研究所は8月29日、ボーイング777Xの主翼を組み立てるための成形工具が、3Dプリンタで作られた世界最大の中実造形物としてギネス世界記録に認定されたと発表した。
写真は、ボーイングでの評価用に出力された777Xの主翼の複合材外板のトリム加工とドリル加工に使用する大型の工具で、長さ5.3m、幅1.7m、厚さ46cm、重量750kgで、炭素繊維とABS樹脂の複合素材で出来ている。写真奥のオークリッジ国立研究所の大型3Dプリンタを使い、これをわずか30時間で造形した。ボーイングの構造・素材担当役員Leo Christodoulou氏は「従来の金属製工具は高価な上、メーカーでの製造に通常3ヵ月はかかる。」と述べている。
ギネスの認定員はこの成形工具の大きさを測定し、記録要件の0.3立方メートルを越えていることを確認、記録が更新されたことを宣言した。オークリッジ国立研究所のポリマー素材研究チームのリーダVlastimil Kunc氏は、「ギネス世界記録に認定されたことで、大型積層造形素材に関する我々の進んだ研究が注目されるようになる。」とし、「3Dプリンティングにより、我々は機能を犠牲にすることなく、より少ない材料で同等の工具を作れるようになるだろう。」と述べている。
ボーイング777Xは2017年に生産を開始し、最初の納品は2020年に予定されている。Christodoulou氏は「777Xの主翼製造用工具のように積層造形された工具は、エネルギー、時間、労働、製造コストの節約につながる。これは、3Dプリンティング技術を重要な製造領域に適用する当社の戦略の一部だ。」と述べている。