硬さと強靭性を両立させたゲル電解質を開発――フレキシブル電池の耐久性向上に期待 東京大学

東京大学は2023年11月25日、フレキシブル電池の耐久性向上につながる、硬さと強靭性を併せ持つゲル電解質の開発に成功したと発表した。

ゲル電解質は高分子由来の柔軟さと安全性から、人体に直接装着するようなウェアラブル機器などにも対応したフレキシブル電池の電解質材料として注目されている。

フレキシブル電池の電解質材料には、充放電時の金属結晶の成長によって発生する電池の短絡を防ぐために、高い弾性率を有する必要がある。また、繰り返し曲げが発生しても亀裂が進展しないように、高い破壊エネルギーを持つことも必要だ。従来、硬さを担保するために高分子の結晶化を利用してきたが、硬いゲル電解質は脆くなりやすく、硬さと丈夫さの両立は難しかった。

今回の研究では、極小領域において相溶性の差によって2つの成分が分離する「ミクロ相分離構造」と、伸長方向に引き延ばされた高分子鎖が互いに寄り集まって結晶を形成する「伸長誘起結晶化」を組み合わせることで、高い弾性率を持ち、強靭性にも優れたゲル電解質の開発に成功した。同大学によると世界初となる。

相分離構造による高弾性率化と伸長誘起結晶化による強靭化を同時に達成したゲル電解質の模式図と写真

伸長誘起結晶化により材料の力学強度が向上することが分かっているが、今回この原理をゲル電解質に適用した。伸長誘起結晶化には、電解質内部の高分子鎖を均一に変形させることが重要になる。これを実現させるため、高分子鎖を環状分子によって連結した環動網目を用いた。環動網目構造を適切に制御することで、電解質中で高分子鎖の変形を均一にし、伸長誘起結晶化によって破壊エネルギー約100MJ/m3の強靭化を実現した。同材料は、曲げても元の形状に戻る柔軟性を持ち、亀裂に対して高い抵抗性を持つ。

本研究で開発したゲル電解質の高い柔軟性と亀裂進展抵抗性

さらに、電解質中では環動網目の環状分子が凝縮して硬い連続相を形成しており、その結果、70MPaの高い弾性率を示している。

今回開発したゲル電解質は、電池の短絡を防ぐための十分な硬さを持ち、繰り返しの変形にも強い強靭性も併せ持つことから、フレキシブル電池の電解質としての応用が期待されるという。

関連情報

硬くて丈夫なゲル電解質 ―フレキシブル電池の耐久性向上に期待― | 物性研究所

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る