屈折率を調整し、サブミクロン単位で集光可能な球状レンズを開発――光回路の実用化に貢献するか

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Graphic by Michael Vincent

米イリノイ大学が2020年12月3日、屈折率の調整が可能な3Dプリント製の球状レンズを開発したと発表した。この球状レンズは、入射してきた可視光をレンズ反対側の微小な焦点に集めることができるという。 研究成果はオープンジャーナル『Light: Science & Applications』において、同日掲載された。

これまでレーザー直接描画法(Direct laser writing:DLW)と呼ばれる3Dプリント技術によって、レンズ、ビームエキスパンダー、ミラーといった光学部品をサブミクロンの精度で作製できることが実証されてきた。しかし、これらの光学部品の屈折率と分散特性の自由度には制限があった。

そこで同大学の研究員、Paul Braun氏とLynford Goddard氏らはSCRIBE(the subsurface controllable refractive index via beam exposure:ビーム露光によるサブサーフェスの屈折率制御)という手法を開発。SCRIBEはDLWによって、ナノ多孔質シリコン/シリカ膜の内部で光学部品を作製する。研究チームはSCRIBEを用いて直径15μmの球状ルネベルグレンズの作製に成功し、3Dプリント時の露光を調整することで屈折率を0.3以上の範囲で変動させることができたという。

同研究員らは、レーザーの強度と露光条件によってナノ孔の内側に入り込むポリマーの量が制御され、ポリマー自体の光学特性は変化しないものの、全体の屈折率が変化するのだという理論を立てている。

研究チームは、複雑な光学部品やイメージングシステムの製造工程に、SCRIBEが大きな影響を与えることになるのではないかと期待。PCの性能向上にも貢献すると見込んでいる。

「この研究成果の活用先として、PC内部のデータ転送が有望ではないだろうか。現行のコンピュータは電子回路でデータを転送する。しかし光導波路を使えば、異なる色の光を使って並列にデータ転送できるため、データを超高速に転送できる可能性がある。従来の光導波路は単一平面にしか作れないのでチップ上で接続できる点が限られていたが、光導波路を3次元的に構築できるようになれば、データのルーティング、転送速度、エネルギー効率を飛躍的に向上できるだろう」(Goddard氏)

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