燃料電池の高寿命化とコスト削減の両立――電極触媒の白金量を80%削減

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Source: Hong Kong University of Science and Technology

香港科技大学、米アルゴンヌ国立研究所、中国南方科技大学などの共同研究チームが、白金の含有量を80%削減しつつ、固体高分子型燃料電池(PEFC)の寿命を大きく延ばす電極触媒を開発した。

同研究成果は2022年6月2日、「Nature Catalysis」誌に掲載された。

PEFCは、クリーンなエネルギー変換技術として注目され、燃料電池自動車などに搭載されている。しかし、発電過程の正極での酸素還元反応(ORR)に必要な白金ナノ触媒は高価で、耐久性も低く、PEFCが広く普及する上での障害となっている。一方、非白金系電極触媒については、窒素配位炭素表面に遷移金属単原子を高分散させた材料などの開発が進められているが、同様に耐久性に乏しいため、応用範囲が限られている。

同研究で開発した電極触媒は、白金と非白金系を窒素配位炭素表面に分散したハイブリッド触媒である。原子レベルで分散した白金と鉄や白金/鉄合金のナノ粒子からなり、OPRの反応経路に必要な活性部位を3種類形成していることが理論計算より明らかとなった。これにより反応速度を加速でき、白金の質量活性を3.7倍にし、より多くの電力供給が可能になる。

さらに、白金の含有量を最小限に抑えているにもかかわらず、10万サイクルの加速ストレス試験後も白金触媒活性を97%維持した。対して、現行触媒は通常3万サイクルで50%以上の性能低下が見られる。また、200時間稼働した後も燃料電池の性能低下がないことも実証された。同研究では、開発したハイブリッド触媒がOPRの副反応である過酸化水素生成を抑え、固体高分子電解質膜の劣化を緩和し、耐久性が向上したと結論付けられている。

同研究は、ハイブリッド触媒における異なる活性サイト間での相乗効果の重要性を強調し、高活性で耐久性のある低白金系電極触媒を設計する新しい方法を提示した。さらなるPEFCの高い耐久性と運転コストの大きな削減が期待できる。

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Atomically dispersed Pt and Fe sites and Pt–Fe nanoparticles for durable proton exchange membrane fuel cells

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