海中をカイトのように飛び回る潮力発電システム

スウェーデンのスタートアップ企業Minestoが、北大西洋にあるフェロー諸島に再生可能エネルギーを提供するための潮力発電システムの概要を公開した。

同社が「Deep Green Technology」と呼ぶ独自の潮力発電システムは、「DG100」発電機をコアとするものだ。DG100の外見は、一見すると水没した航空機にも見える。翼長5mの主翼と方向舵、タービンを備えて、テザーケーブルで牽引されるグライダーに似ているが、DG100が飛び回るのは空中ではなく、海中だ。

DG100の発電メカニズムは、海底に固定されたテザーケーブルに結びつけられた機体が、低速の潮流と海流によって生じる「揚力」によって、風にあおられるカイト(凧)のように、8の字を描きながら動き回るというものだ。

この際に機体に取り付けられたタービンが回転して発電するわけだが、システムに搭載されたコンピューターにより、最も発電効率が良いように潮の流れに向かって方向舵が自動的に修正される。発電した電気はテザーケーブルから海底ケーブルを通ってコントロールセンターへと送られ、フェロー諸島への電力グリッドに接続される。現状DG100の1機あたりの発電量は一般家庭4~5戸相当だという。

フェロー諸島全体としての目標は、「2030年にはフェロー諸島全体を再生可能エネルギーで賄う」ことであり、そのために必要な電力量は30~70MWだという。同社によれば、この潮力発電システムは、その目標達成のために重要な役割を果たすだろうとしている。

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Faroe Islands – tidal energy to reach 100% renewable by 2030

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