極超音速航空機用スクラムジェットエンジンの新しい開発手法を発表

米アルゴンヌ国立研究所とNASAの研究チームは、極超音速航空機の開発を加速するために、従来の流体シミュレーションにAIを組み合わせるという手法を開発した。超音速燃焼のスクラムジェットエンジンの開発に利用される。研究結果は、2022年1月に開催された米国航空宇宙学会の科学技術フォーラム「AIAA SciTech Forum 2022」で発表された。

極超音速航空機の時速は3000マイル(約4800km)以上、1時間程でニューヨークからロサンゼルスまで移動できる速さだ。ただし、マッハ5を超える極超音速飛行は、空気の摩擦が非常に大きく、通常の民間航空機の部品は耐えきれない。NASAをはじめ各機関では、スクラムジェットエンジンに着目して研究を進めている。

航空機と空気との相互作用を予測する手法は、数値流体力学(CFD)が知られているが、「これらのエンジンでは化学と乱流の相互作用が非常に複雑なため、燃焼の物理学を正確かつ効率的に表現できる、先進の燃焼モデルとCFDコードを開発する必要がある」と、研究チームの一人であるSibendu Som氏は語る。

研究チームは、不安定な環境下での燃焼の様子をシミュレーションするために、独自の「VULCAN-CFD」を開発した。多次元の燃焼シミュレーションを処理し、その際の膨大な計算コストとメモリ要件を緩和するために、機械学習を取り入れている。その結果、メモリを多く必要とする従来の手法と同等の性能を維持しつつ、大幅にコストを削減し、燃料特性を分析できるようになったとしている。

国防や商用に向けた極超音速航空機の開発につながるほか、宇宙探査や繰り返し利用可能な打ち上げロケットへの展開も期待できる。

関連リンク

Argonne scientists team with NASA to enhance faster-than-sound jet engines

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