Wi-SUN FANを用いた無線機1000台の自律通信試験に成功 京大など研究グループ

京都大学は2023年2月16日、同大学大学院情報学研究科が日新システムズと共同で、国際無線通信規格 Wi-SUN FAN(Field Area Network)を用いて、1ネットワークあたり最大1000台によるマルチホップを利用した自律通信試験に成功したと発表した。2023年度以降の導入が検討されている次世代スマートメーターの運用では、最大1000台の無線を一つの自律ネットワークに収容することが求められている。研究グループでは、Wi-SUN FANによるマルチホップを利用した自律ネットワークが、次世代スマートメーターで求められる大規模ネットワークに実用可能なことを確認できたとしている。

研究グループは無線機1000台の環境で高品質な通信を実現するため、Wi-SUN FANの通信制御に関する各種パラメータの最適値を探るとともに、1000台の無線機を収容するシングルボードコンピュータ対応無線機へのWi-SUN FANプロトコルスタックの移植に取り組んだ。その結果、Wi-SUN FAN無線機1000台を用いたマルチホップメッシュネットワークの構築と実際の運用で想定される通信量によるデータ通信を実現。さらに次世代スマートメーターの要件を満たす、累積で99.9%以上のデータ通信成功率を達成した。

スマートシティやスマートグリッドなど屋外での通信ネットワークを実現するためには高品質で、建物などに遮られない堅牢な無線通信ネットワークが必要となる。Wi-SUN FANは国際無線通信規格「Wi-SUN」の規格の一つで、電気/ガス/水道のメータリングのほか、スマートシティやスマートグリッド、高度道路交通システムなどで運用可能な通信ネットワーク技術として期待されている。

京大と日新システムズは2019年1月、世界で初めてWi-SUN FAN 搭載の認証済み無線機を開発し、大規模高密度ネットワーク構築の研究を進めている。

今回の実証実験で用いたプロトコルスタックでは、Wi-SUN FANの通信制御を司る各種パラメータの値を容易に変更でき、大規模な環境だけではなく、移動体との通信や大容量のデータ通信など用途に合わせて最適な通信パラメータを指定できる。

今後は、今回の試験データとシミュレーション結果との整合を行い、より大規模な通信ネットワークの構築、維持、安定した通信を可能にするための条件などの調査を進めていく。

関連情報

次世代スマートメーター/IoT向け国際無線通信規格Wi-SUN FANを用いた無線機1,000台の自律通信試験に成功-99.9%以上の通信成功率を達成し、高信頼なマルチホップネットワークを確立- | 京都大学

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る