川崎重工は2023年6月6日、大型液化水素運搬船用の貨物タンク(CCS:Cargo Containment System)の技術開発を完了したと発表した。
水素を大量に海上輸送するにあたっては、−253℃に冷却し、体積を気体の800分の1とした液化水素を長期間安定して保冷する必要がある。
同社は今回、独自の新構造CCS「CC61Hタイプ」を開発した。外表面積が内容積に対して小さいため、外部からの侵入熱を低減できる球形状となっている。また、内外二層構造により二段階の断熱が可能で、断熱性能に優れる。
同社は、大型液化水素運搬船用CCS(タンク容量:4万m3/基×4基、合計搭載容量:16万m3)の実用化を計画している。今回製作したCC61Hタイプの試験用タンクは、これに近い規模とした。
構造材や防熱材の厚さなども実船に即した構成サイズとし、組立や溶接、断熱材の施工性などの成立性を検証した。
また、試験用タンクを使用したガス置換/冷却/昇温試験を開発の最終段階として実施。不活性ガスにより高効率でタンク内の大空間を置換できることや、計画通りの断熱性能が得られることを確認している。
なお、本件は、NEDO助成事業「水素社会構築技術開発事業・大規模水素エネルギー利用技術開発・液化水素の輸送貯蔵機器大型化および受入基地機器に関する開発」の取り組みとして、大型液化水素運搬船用CCSの性能確認用タンクの設計/製作と性能確認試験を進めてきたものである。
同社は今後、2030年までの液化水素サプライチェーン商用化実証計画に向けて、大型液化水素運搬船の実用化を引き続き進める。