米ミネソタ州で実証規模の鉄空気電池システム建設へ――数日分の再生可能エネルギー貯蔵を可能に

アメリカ西部と中西部の8州で事業展開しているエネルギー企業Xcel Energyは、2023年7月6日、複数日にわたり利用可能な蓄電システムの建設について、ミネソタ州規制当局から許可を得たと発表した。この蓄電システムは先駆的な鉄空気電池を開発している米Form Energyが開発したもので、再生可能エネルギーを最大限に活用し、極端な気温や天候の中でも送電網の信頼性を維持できるという。

既存のほとんどの電池技術では最大でも8時間分の蓄電しかできないが、Form Energyの鉄空気電池は100時間電力を供給できるとしている。複数日にわたるエネルギー貯蔵システムは、毎日の天候や週単位や季節単位での気候変動に対して送電網を強化するだけでなく、厳しい冬の嵐や極渦のような異常気象事象の中でも送電網を強化できる。

Form Energyが開発した実証規模の10メガワット/1000メガワット時の鉄空気電池システムは、米ミネソタ州のシャーバーン郡発電所近くに位置する、約2万平方メートルの土地に設置される予定だ。近辺では、Xcel Energyがアメリカ最大級の太陽光発電所となる「Sherco Solar」の建設を進めている。

今回のプロジェクトは、Xcel Energyが廃止する予定の石炭火力発電所の敷地を利用した蓄電池プロジェクト2件のうちの1つで、もう1つは米コロラド州のコマンチ発電所に設置される。この蓄電システムにより、同社は太陽光や風力などから生産する再生可能エネルギーを蓄えておき、生産量が少ない期間にそのエネルギーを供給できるようになる。蓄電システム建設は2024年の第2四半期に開始され、早ければ2025年に稼働する予定だという。

関連情報

Xcel Energy receives approval to build multi-day battery storage at Sherco site | Form Energy
リチウムイオンの10%のコストで電力を保存する「鉄空気電池システム」

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