- 2024-4-2
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- POSCO N.EX.T Hub, PVA-g-PAA, Small, リチウム, 二次電池, 全固体電池, 底部電着(bottom electrodeposition), 機能性バインダー, 浦項工科大学(POSTECH), 液体電解質, 負極保護層, 走査型電子顕微鏡(SEM), 電着技術
韓国の浦項工科大学(POSTECH)と鉄鋼メーカーの研究機関であるPOSCO N.EX.T Hubのチームは、2024年3月13日、リチウムの電着技術「底部電着(bottom electrodeposition)」により、全固体電池の性能と耐久性を向上させたと発表した。この研究成果は、2024年2月15日、国際学術誌『Small』に掲載された。
現在、電気自動車やエネルギー貯蔵システムに使用されている二次電池は、一般的に可燃性の液体電解質を使用しており、火災の危険性がある。このため、より安全な全固体電池の開発が続けられている。
全固体電池の動作は、充放電の過程で負極のリチウム金属が電子を失ってイオンに変化し、再び電子を取り戻して、金属に電着するサイクルを繰り返す。リチウムが無秩序に電着すると、利用可能なリチウムがすぐに枯渇して、電池の性能と耐久性が著しく低下する。
研究チームはこの課題に対応するため、全固体電池の素材を繋ぐ役割の機能性バインダー「PVA-g-PAA」からなる負極保護層を開発した。この層は、リチウム移動特性を改善して無秩序な電着を防ぐことにより、底部電着のプロセスを促進する。これにより、リチウムは、負極表面の底部から均一に析出する。
走査型電子顕微鏡(SEM)で分析した結果、リチウムイオンの安定した電着と脱離が確認された。また、不要なリチウム消費量を大幅に削減でき、リチウム金属が10μm以下の薄さであっても、長期にわたって安定した電気化学性能を示すことが確認できた。