コンクリート打込み中の材料分離をリアルタイムで評価する方法を開発――粗骨材分布を見える化 芝浦工業大学ら

芝浦工業大学は2023年11月8日、同大学工学部と戸田建設、ムネカタ インダストリアル マシナリーが共同で、コンクリート打込み中の材料分離程度(粗骨材分布)をリアルタイムで評価する方法(特許出願済み)を開発したと発表した。これまでコンクリートの施工は、熟練工の経験に頼る部分が大きかったが、新たな品質管理方法により、高品質な施工ができるようになる。

コンクリートを型枠内に打ち込む際に生じる材料分離は、硬化コンクリートの局所的な強度特性、水密性、耐久性などの低下を引き起こすが、打込み中の材料分離を評価する方法は確立されていなかった。

開発した技術は、インピーダンスがコンクリートの配合で変化することに着目し、さまざまな配合のインピーダンス測定結果をもとに、コンクリートの粗骨材などの構成材料の変化を評価する。

測定機器(以下、センサ)には、コンクリートの充填、締固めを検知する超薄型シート状センサ「ジュウテンミエルカ」の充填検知機能を拡張して使用する。また、弓形電極を装備した挿入式センサも開発。型枠や圧送管などに開孔を設け、外側から取り付ける。なお、センサはインピーダンスに代えて、簡易的に電圧デジタル信号を出力する。

材料分離の評価結果の表示には、専用モニタを使用。骨材の動きを直感的に認識できるように、赤丸の上下動で表示する。赤丸は、粗骨材分布が所定通りの場合はコンクリートのセル中央付近、粗骨材が少ない場合は上部、粗骨材が沈降して多くなると下部に移動する。あらかじめ設定した管理値に達したときは、警告を発令する。

打込み前には、試験練り時に木製容器に取り付けたセンサを用いて電圧デジタル信号を測定する。次に同じセンサを用いて、現場の荷卸し場所、または圧送ホース吐出口で測定し、これらの測定結果を比較することで材料分離程度を評価する。

打込み時は、センサを型枠や鉄筋などに取り付け、電圧デジタル信号をコンクリート打込み中に連続測定し、変化を常時監視。管理値に達した際に警告を発令する。圧送時(一部開発中)は、センサを圧送管に取り付け、電圧デジタル信号をコンクリート圧送中に連続測定し、変化を常時監視。管理値に達した際に警告を発令する。

今後、開発技術の改善などを進め、コンクリート構造物の品質不具合を未然に防ぐ品質管理手法としての確立を目指す。

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