サファイアの単結晶薄膜を容易に作製できる方法を開発 中国科学院

China Media Group

中国科学院上海マイクロシステム情報技術研究所の研究チームが、サファイアの単結晶薄膜を作製する方法を開発した。同技術は、小型チップに使用される次世代のトランジスタの開発を可能にし、バッテリー寿命を延ばすという。同研究成果は2024年8月7日に『Nature』誌に掲載された。

電子機器の小型化と高性能化が進むにつれ、トランジスタの微細化は、特に誘電体材料の領域で課題となっている。チップに使用する誘電体は通常、アモルファス(非結晶性)であり、絶縁体として機能するが、ナノスケールでは機能が低下する。絶縁性の低下は、バッテリー寿命を短くする要因の一つとなっている。

そこで研究チームは、低いリーク電流を達成できる結晶性誘電体であるサファイア(酸化アルミニウム)の作製方法を開発した。ゲルマニウム上にグラフェンを鋳型として、単結晶アルミニウム薄膜を作製し、室温でアルミニウムに酸素原子を挿入することで、単結晶サファイアの誘電体薄膜を作製した。

作製したサファイアは、天然サファイアと同じ結晶構造と誘電特性、絶縁特性を示した。同作製法は単純であるため、工業生産レベルまで容易に拡張可能であり、既存のシリコンの作製過程と互換性があるという。チップの消費電力を大幅に削減し、電子機器のバッテリー寿命と動作効率の向上が期待できる。

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