固体電池「Goliath P1」が釘刺し試験の安全性でリチウムバッテリーを圧倒 英Ilika

Ilika plc/YouTube

固体電池技術の開発に特化した英国のスタートアップ企業Ilikaは2024年9月5日、固体電池プロトタイプ「Goliath P1」が独立専門評価機関による安全性試験で、リチウムイオンバッテリーと比較して優れた安全性を有することが実証されたと発表した。

安全性試験は、「釘刺し試験」と呼ばれる標準的なバッテリー安全性評価テストで、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)で実施された。金属製の釘をセルに貫通させてセル内部に電気的刺激を与えることで、三元系正極材(NMC)を使用したエネルギー密度の高いリチウムイオンバッテリーが、危険な膨張、破裂、爆発、発火を引き起こし、しばしば600℃を超える温度に至るような、熱暴走として知られる危険事象をシミュレートする。同様に高エネルギーNMCを使用しているGoliath P1セルは、釘刺し試験で爆発も発火もせず、外部温度は80°C以下に抑えられた。

同試験は、次世代バッテリー技術の安全性を深く理解することを目指す、ファラデー研究所のSafeBattプロジェクトとの短期共同研究の一環として実施された。Ilikaのほかに、オックスフォード大学とUCLの研究者が参加した。中核となるSafeBattプロジェクトでは、Ilikaをはじめとした英国のバッテリー開発者や製造業者が連携してバッテリーの安全性を探求している。

電気自動車(EV)がネットゼロ移行の鍵を握る中、固体電池は電池パックの複雑さを軽減し、より軽量で安全な車両の実現と走行距離の延長をもたらすと期待されている。

UCLの先進推進工学講師で、SafeBattプロジェクトリーダーのJames Robinson博士は、「この初期の結果は、セルの安全性という点でわれわれの期待を上回った。さらなる試験が必要だが、このタイプのセルは、従来の最先端のセルよりも本質的に安全性に優れているようだ」と述べている。

また、オックスフォード大学の持続可能エネルギー工学の教授で、SafeBattの主任研究員でもあるPaul Shearing教授は、「次世代バッテリーの開発サイクルに高度な安全性試験を組み込むことは、その導入を加速させる上で欠かせない」とコメントしている。

関連情報

Goliath Prototypes Demonstrate Superior Safety | Ilika

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