CO2再資源化人工石灰石を原料にした複合化PP樹脂を開発 住友大阪セメントと日泉ポリテック

住友大阪セメントは2025年2月6日、日泉ポリテックと共同で、CO2を使って再資源化した人工石灰石を用いて、複合化ポリプロピレン(PP)樹脂を開発したと発表した。同社はこの樹脂を使って、同年4月に開幕する大阪・関西万博での記念クリアファイルを作成する。

住友大阪セメントは2022年2月から、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトに参加し、「多様なカルシウム源を用いた炭酸塩化技術の確立」の幹事会社として技術開発に取り組んでいる。

炭酸カルシウムはセメントやコンクリートなどの充填材として幅広く使用される一方、樹脂製品の製造過程でも石灰石由来の炭酸カルシウムが充填材として用いられている。そこで、石灰石の代わりにCO2を使って再資源化した人工石灰石を使用することで、リサイクル材料の有効活用を図ろうと考えた。

製造に使用されるのは、廃材として廃棄された石膏ボードにCO2を鉱物固定して作られた人工石灰石で、1kgあたり約420gのCO2が使われる。

新たに開発されたPP樹脂には、樹脂ペレット1kgあたり約300gの人工石灰石が使われている。人工石灰石は、製造過程でCO2を固定化しているため、単に混ぜるだけで効率よく回収したCO2を有効活用できる。製造されるPP樹脂ペレットは軟質で、クリアファイルなどの原料に使われる。

本製品の製造イメージ

近年、廃石膏ボードの排出量は年々増加しており、2050年には300万トンが発生すると予測されている。リサイクル処理技術が確立していないため、埋立処分される割合が高く、再利用方法の開発が急がれている。このことから、今回の技術は廃石膏ボードをはじめとするカルシウムを含む廃棄物のリサイクルにもつながると期待される。

今後、両社は人工石灰石を使った他の樹脂の製造や、樹脂の活用方法の開発などに取り組んでいく。

関連情報

【世界初】CO2再資源化人工石灰石を使用した複合化PP樹脂を開発 | 住友大阪セメント

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