植物と「通信」できるデバイスを開発――スマホでハエトリグサの葉を開閉する

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シンガポールの南洋理工大学(NTU)の研究チームは、植物と電気信号の送受信ができる小型デバイスを開発した。農作物に取り付けて病気の進行状態を把握したり、壊れやすいものを掴む植物ベースのロボットの開発など、農業用途やロボット工学に適している。研究結果は、2021年1月25日付の『Nature Electronic』に掲載されている。

植物が周辺の環境状態を感知し、応答するときに電気信号を発することは、以前から知られている。植物からの電気信号を計測できると、さまざまな用途に利用できる可能性があるが、その信号は非常に弱いため、検出用の電極を正しく取り付ける必要がある。植物の葉の表面に細かい産毛が生えていたり、凸凹していると、たとえ薄いフィルム電極でも信頼性の高い信号伝送は難しい。

NTUの研究チームは、植物との接触面に柔らかく接着性のあるヒドロゲル層を備え、金ナノメッシュとPDMS(ポリジメチルシロキサン)で構成した大きさ3×3mmの柔軟な電極を作製した。電極は無害で光合成を妨げることなく、植物と電気信号の送受信ができる。

実験として、開発したデバイスを食虫植物のハエトリグサに取り付け、スマートフォンから電気パルスを送信してハエトリグサの葉の動きを誘発、1.3秒で望みどおりに葉を閉じさせることに成功した。植物製のアクチュエーターとなったハエトリグサは、ロボットアームに取り付けることでグリッパーとして働き、直径0.5mmのワイヤを掴むことにも成功した。

この技術を利用すると、壊れやすい物体も拾える繊細さを備えたロボットグリッパーを作製できる。さらに研究チームは、植物と「通信」できるデバイスを利用することで、農家が農作物を守るための予防措置が取れると考えている。

「気候変動は、世界中で食の安全を脅かしている。植物の電気信号をモニタリングすることで、植物の劣化や異常を検知できるかもしれない。農業で使用すると、葉の黄変など症状が深刻化する前に、農作物に病気が進行していることを知ることができる。人口に対して十分な食料の迅速な確保につながるかもしれない」と、Chen Xiaodong教授は語る。

今回の研究は、植物ベースの技術システムの可能性を示しており、植物ベースのロボットだけでなく、センサー、メモリスタ、植物の健康状態の監視デバイスなど、さまざまな用途への利用が考えられる。

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An on-demand plant-based actuator created using conformable electrodes

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