- 2016-6-1
- エンジニアキャリア紹介, 制御・IT系, 機械, 電気・電子系
- BOCCO, iDoll, necomimi, Neurowear, コミュニケーションロボット, ユカイ工学, 青木俊介
苦労ばかりでも、やめることは考えなかった
――エンジニアであり、経営者でもあるわけですが、特に会社設立当初は大変だったのではないかと思います。
技術的には分からないことだらけだったので、大学のロボットのプロジェクトに参加しながら、メーカー出身の方などに聞いて回っていました。その道のスキルを身に付けるには、仕事にするのが一番です。仕事ならば必死で覚えますからね。
経営的には、苦労しかありませんでしたね。当時の世の中は「ロボット」に関して無風状態で、注目している人もいないし、話題にもならない。周りの人にはバカにされていて、アドバイスといえば「やめた方がいい」というものばかりでした。
――でも、やめませんでした。
はい。ロボットが軌道に乗るまでは、ソフトウエアのスキルで稼ぐことになるとは想定していました。ロボットでビジネスをしようと決意表明したくらいですから、やめることは全然考えませんでした。
今になって考えてみれば、ロボットにいち早く取り組んできたことで、ネットワークやノウハウも築けました。実績も評価していただけるようになってきました。
でも、ブームが来なかったらどうなっていたんでしょうね。芽が出ないうちから取り組んでも、やっぱりずっと芽が出ないことの方が、普通は多いですから。ロボットがこれだけ注目されるようになって、すごくありがたいですね。
普遍的な知識と、学び続けるスキル
――エンジニアのキャリアアップには何が重要だと思いますか。
私は、定期的に未知の領域に踏み出すことが重要だと思っています。
優秀な研究者の方々にも、テーマを変えている方は多くいらっしゃいます。技術がどんどん進化していく世界では、テーマを変えていくことが、結果的に一番キャリアアップにつながるのではないかと思います。
変え方は業種でも職種でもいいと思います。例えばSIerとアプリの会社では、それぞれのノウハウがあります。仕事の仕方も全然違いますから、いろいろな発見があると思います。この発見こそが、キャリアアップなのだと思います。
――ではエンジニアに必要な素養は。
常に学び続けるスキル。恐らくこれだけだと思います。
時代に応じて使われる技術は全く変わりますし、特に変化が速い分野です。とにかく学ぶことが好きで、学び続けることが重要なのではないかと思います。仕事の時間だけでは新しいことを覚えられるとは限らないので、本当にスキルアップしたいなら、仕事以外の時間もパソコンを触っているくらいでないと難しいのではないでしょうか。
ただし、技術的な基礎知識は必要です。ソフトウエアの世界で言うと、例えばプログラムはメモリをどう使うのかというような普遍的なコンピュータサイエンスの知識です。こういった技術的な基礎知識がしっかりしていれば、流行りの言語などはその都度覚えればいいことですから。
――今後はどのようなことをしていきたいですか。
これから労働人口がますます減り、働いている世代はどんどん忙しくなりますよね。そうなると、子どもやお年寄りとの時間をゆっくり取ることが難しくなってしまう。そういう時代に、ロボットが役に立てることはたくさんあるでしょう。人に優しく、お財布にも優しいコミュニケーションロボットを、これからも生み出していきたいと思っています。
まずは、当社で開発をしている手のひらサイズのロボットドール「iDoll」を、近々製品化する予定です。さまざまな動きを音声と一緒に再生できて、あいさつをしたり、歌ったり踊ったりしてくれるロボットです。楽しみにしていてください。