グラフェンと金のリボンでストレス状態をモニターする電子タトゥーを開発

人間は興奮したり緊張したりすると汗をかく。皮膚電気活動(EDA)と呼ばれるこの生理現象は、情動を示す指標として知られている。テキサス大学オースティン校とテキサスA&M大学の研究チームは電子タトゥー(e-tatoo)技術を活用して、手のひらに貼り付けてストレスレベルをモニタリングするEDAセンサーを開発した。電子タトゥーはほとんど目立たず、外部のスマートウォッチと接続して使用する。研究の詳細は『Nature Communications』誌に2022年11月3日付で公開されている。

EDAセンサーは、感情ストレスを測定し、メンタルヘルスで問題を抱える人を支援するために利用されている。しかし従来のEDAセンサーは、大型で身体の目立つ場所に取り付けるため、病気に対する偏見の目で見られる可能性がある。またEDA信号を正確に測定できない場合がある。

研究チームは、長年ウェアラブルデバイスとしての電子タトゥーの研究を続けてきた。電子タトゥーは、人体から発生する電位を正確に測定するため、薄いグラフェンなどが材料に使用されることが多い。しかし、超薄型の材料は歪みに対応しづらいため、手の平や手首など動きの多い部位に直接貼り付けるウェアラブルデバイスへの応用は難しい。

開発した、EDAセンサーとして働く電子タトゥーは、グラフェンと金の2種類のリボンを使うものだ。これまで他の研究者らが、電子タトゥーと読み取り機をつなぐために、直線のリボンを使用したことがあったが、手のひらの動きに対応することはできなかった。今回のものは、蛇行しているリボンを部分的に重ねることで、物を握ったり、走ったりするなど日常生活における手のひらの動きに対応できるようにした。

研究チームは、今回の研究はVRやゲーム、メタバースから着想を得たという。VRは精神疾患の治療に利用されることもあるが、VRにおける人間を知覚する能力はまだ十分とはいえない。研究リーダーであるテキサス大学オースティン校のLu教授は、「この治療に効果があるか知りたいところだが、現状患者にとって有用であるかを知ることは難しい」と述べている。

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