米イリノイ大、さとうきびによるバイオジェット燃料生成を研究――航空機による二酸化炭素の排出削減が狙い

航空業界は、人が生み出す二酸化炭素全体の2%を排出しているといわれている。これは火力発電や家庭の暖房に由来する二酸化炭素が40%を占めることに比べると少ないように思われるが、その増加率は最も高く、今後20年で倍増するといわれている。

航空業界の地球温暖化対策として期待されているのが、バイオディーゼル燃料を使ったジェット燃料だ。バイオディーゼルはその生成に必要なエネルギー量より93%も多いエネルギーを生み、排出ガスは化石燃料の41%しか生じない。

米イリノイ大学では、米エネルギー省の支援を受け、バイオディーゼル燃料を効率よく生産するため、さとうきびの油脂分を遺伝子工学による品種改良で大幅に増やす研究を行っている。通常のさとうきびに含まれる油脂分はわずか0.05%で、植物学者らは1%以上の油脂分は植物にとって有害だと否定的な見方をしていた。ところが研究チームは葉に含まれる油脂分を実に12%まで引き上げることに成功した。さらにコンピューターによるモデリングでは、理論上20%まで高めることが可能だという。

同学によれば、品種改良したさとうきびからは1エーカー(約40アール)あたり2500リットル以上のバイオジェット燃料が生産できるという。54エーカー(約22ヘクタール)のさとうきび畑で、ボーイング747を10時間飛行させるだけのバイオジェット燃料が生産できる計算だ。

日本でも2020年の東京オリンピックに向け、バイオジェット燃料の導入が検討されている。研究が進めば、選手団はさとうきびから作った燃料で飛ぶジェット機で来日するかもしれない。

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