京大、ハロゲン化金属ペロブスカイト半導体の新たな光学特性を発見

メチルアンモニウム塩化鉛単結晶の写真(レーザー励起で発光させた場合)

京都大学は2018年2月5日、ハロゲン化金属ペロブスカイト半導体の一種であるメチルアンモニウム塩化鉛の光学特性をレーザー光による発光測定によって解明し、新たな特性を発見したと発表した。

ハロゲン化金属ペロブスカイト半導体は、ペロブスカイト構造という結晶構造をもつ半導体の一種。その中で、メチルアンモニウムイオンなどの有機物を含む有機無機ハイブリッドペロブスカイトは、比較的低温かつ簡便な塗布プロセスで高品質な薄膜を作製できる。このため、低コスト、高効率でフレキシブルな光デバイス材料として注目されている。

これまでは、ペロブスカイト半導体の中でも、光吸収と発光の色を決めるバンドギャップエネルギーが小さく、太陽電池に適した物質を中心として研究が行われてきた。一方、ペロブスカイト半導体には、よりバンドギャップエネルギーの大きな(ワイドギャップな)半導体も存在するが、それらの基礎的な光学特性は十分には解明されていなかった。

同研究では、青色領域にバンドギャップエネルギーを持つワイドギャップペロブスカイト半導体であるメチルアンモニウム塩化鉛の単結晶および薄膜試料を作製。物質の光吸収と発光の相関関係を明らかにできる発光励起スペクトル測定という手法によって、その基礎光学特性の解明を試みた。

測定の結果、このペロブスカイト半導体の中では室温において電子と電子の空席(正孔)が一体となった状態(励起子)が存在していること、およびその状態は自身が放出した光を再度吸収する過程を繰り返すこと(フォトンリサイクリング)がわかった。励起子によるフォトンリサイクリング効果は今回初めて観測された現象で、ハロゲン化金属ペロブスカイトの新しい光学特性だという。

この研究により、ハロゲン化金属ペロブスカイト半導体の優れた光電特性が明らかとなり、特色あるフォトニクスデバイスの開発の加速が期待されるという。

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