NTN、鉄道車両用「小型密封式車軸軸受ユニット」を開発――幅寸法を15%短縮、車軸のたわみを30%低減

鉄道車両用「小型密封式車軸軸受ユニット」

NTNは2018年6月25日、従来より幅(軸方向)寸法を約15%短縮した鉄道車両用「小型密封式車軸軸受ユニット」(複列円すいころ軸受)を開発したと発表した。

車軸にかかる車体重量によるたわみによって、車軸軸受ユニット部品間の接触部分に振動荷重が加わるフレッティング摩擦が生じることがある。それにより発生した摩擦粉が車軸内部に侵入すると、潤滑不良や摩耗、はく離などの不具合につながるおそれがある。従って車軸のたわみを抑制し不具合発生を防止するために、軸方向寸法を短縮した車軸軸受ユニットが求められている。

密閉式の車軸軸受ユニットは、外輪に嵌合したオイルシールによってグリースの漏洩を防いでいるが、グリースの密封性を確保するためには、オイルシールと軸受回転部の距離を長くする必要があった。そのためにオイルシールを軸受幅の外側に配置する必要があり、車軸軸受ユニットの幅寸法の短縮には限界があった。また、オイルシールより構造が簡単なシールド板を使用すれば軸方向寸法の短縮は可能だが、オイルシールと比較するとグリース密封性が低いという問題がある。

今回開発した小型密閉式車軸軸受ユニットは、シールリップ部にグリースが移動しにくいラビリンス構造を設け、さらにシールリップ形状を工夫した新しいシール構造を採用。これによりオイルシールのグリース密封性の向上と幅寸法の短縮を両立し、オイルシールを軸受幅の内部に配置することを可能にした。

その結果、従来品と同等の軸受寿命や高速性、グリース密封性を確保しつつ、軸方向寸法を約15%短縮し、車軸たわみを約30%低減することに成功した。

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