小さい粒子をブロックして大きい粒子を通す――通常と逆に機能する液体フィルターを開発

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米ペンシルベニア州立大学の研究チームは、小さい粒子を通さず大きな粒子を通し、生物の細胞膜のような構造を持つ自己修復可能な液体ベースの膜を開発した。排水処理や医療分野における利用が見込まれるもので、研究成果は2018年8月24日付けの『Sicience Advances』に、「Free-standing liquid membranes as unusual particle separators」として掲載されている。

通常のろ過プロセスに使用するフィルターは、多孔質の固体ベースのものが多く、小さな物体を通し大きな物体は通さない。しかし自然界では、小さな物体を通さず大きな物体だけ通す液体ベースの膜が存在し、動的に再構成と自己修復を行う特性を持っている。

研究チームは細胞膜の構造を模倣して、液体だけで構成したフィルターを開発した。液体の特性上、物体が膜を通り抜けたあと、表面は自己修復する。従来のフィルターとはまったく逆の作用をするこの液体フィルターは、物体を大きさではなく、動きやエネルギーで選別する。

「一般的に、小さな物体は質量が小さいため運動エネルギーが低い。この膜は、運動エネルギーの高い大きな物体を通し、運動エネルギーの低い小さな物体をとどめておく」と、研究チームはその原理を説明する。



一番簡単な膜は、水と界面活性剤の2成分のみで作製できる。試作では石鹸膜を使用し、リングで膜を保持した。界面活性剤の濃度を変化させることで膜の表面張力を調整し、粒子の慣性特性に基づいた臨界サイズより小さい粒子を、膜にとどめることができる。また、界面活性剤の種類を変えることで、機械的耐久性や抗菌性の強化、消臭など特定の用途に最適化することもできるという。

研究チームは、実用的な用途もいくつか示した。例えば、屋外で清潔な手術室が確保できない場合には、この膜はサージカルフィルムとして利用できるという。膜は、粒子バリアとして細菌、埃、アレルゲンが傷口に達するのを防ぐだけでなく、汚染物質を膜の界面で移動させることも可能なため、手術用器具は汚染されることなく安全に手術を行うことができる。

さらに、ガスを閉じ込めることもできるため、トイレ配管のにおい消しとしても利用できるという。チームはこの研究を国際特許出願しており、今後は膜の機能をさらに強化し、実用化に向けたテストを行う予定だ。

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Self-healing reverse filter opens the door for many novel applications

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