東大物性研が1200テスラの磁場計測に成功――室内で世界最高、固体電子物性研究の“強力な手段”に

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電磁濃縮超強磁場発生装置(左)と磁場発生瞬後の様子(右)

東京大学は2018年9月18日、室内で1200テスラの磁場を発生させて、高い信頼性で計測することに成功したと発表した。同大学の物性研究所で導入を進めていた1000テスラ級電磁濃縮超強磁場発生装置を完成させて、磁場の発生に利用している。

室内実験で高度に制御された磁場の世界最高記録は、これまで985テスラだった。今回と同じ研究グループが2018年に達成した記録で、それを大幅に上回ったことになる。

従来、1000テスラ超の磁場を生成するには、複雑な構造が必要で野外での実験となる爆縮法を利用するしかなかった。しかも、再現性や磁場発生の制御などに難点があり、物性測定には不向きだった。

今回、1200テスラの磁場を発生させた装置に採用されている電磁濃縮法は、発生させた磁場を空間的にも時間的にも高精度で制御可能。高精度の物理計測が容易になることから、今後、超強磁場での物性計測に加えて、高圧・極低温などの極限物理環境と組み合わせた利用が期待できるという。

電磁濃縮超強磁場発生装置の模式図

1000テスラ超の磁場においては、電子の運動が制限される。原子近傍で強い相互作用をする電子の性質を調べることで、物質の未知の機能を発見できる可能性がある。半導体、ナノマテリアル、有機物質、超伝導体、磁性体で未解明の固体物理量子現象の解明に向けて、強力な手段を手に入れたことになると同大学は説明している。

この研究は、東京大学物性研究所の嶽山正二郎教授、松田康弘准教授らの研究グループによるもの。科学誌「Review of Scientific Instruments」の9月17日版に掲載された。

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