オックスフォードシャーで、第二次世界大戦時の爆撃機発射カタパルトを発掘

英ロンドン考古学博物館(MOLA)は、2023年10月12日、英国の中南部オックスフォードシャーにあるハーウェル科学・イノベーションキャンパスの敷地内で発掘された、第二次世界大戦時の実験的な陸上カタパルトに関する調査を実施したことを公表した。

王立航空研究所(RAE)の「Mark III Catapult」と名付けられたこの装置は、短い滑走路を使って、より多くの燃料を積んだ爆撃機を空中にカタパルト射出するためなどの理由から開発されたものだ。3年にわたる設計作業の後、1938年から1940年にかけてオックスフォードシャーのハーウェルで製造された。

装置は大きな回転式ターンテーブルで構成されており、全長わずか82mのコンクリート製滑走路から発進するため、機体はけん引フックを使って地下の空圧式シリンダーに取り付けられる。ターンテーブルの下に設置された英Rolls Royce製航空エンジン「Kestrel」が、空気圧2000psi(約136気圧)まで空気を圧縮し、高圧の空気がシリンダーに送り込まれると、シリンダーは誘導軌道の長さまで急速に拡大し、大型爆撃機を大空に舞い上がらせるという仕組みだ。

残念なことに、試作段階でこのカタパルトには、爆撃機に合わなかったり、エンジンが摩耗したりするなどいくつかの問題があり、実際に航空機が射出することはなかったという。プロジェクトが放棄されると、装置は取り外されて構造物は埋め立てられ、1941年までに南側アームの端に通常の滑走路が建設された。それ以降、ほとんど埋もれていたカタパルトのコンクリート遺構が、このたびの発掘作業で脚光を浴びることとなった。

MOLAプロジェクトオフィサーのSusan Porter氏は、この建造物の位置と外観を隅々まで記録することで、戦間期から第二次世界大戦にかけての技術革新を想起させるカタパルトを、後世のために保存することになると述べている。

敷地内の建設工事を続けるためカタパルトは解体されたが、引き続き調査は行われている。作業が完了すれば、すべてアーカイブに保管され、第二次世界大戦初期の歴史に残る珍しいカタパルトについての詳細な記録が永久に保存されることとなる。

関連情報

Excavations at Harwell investigate experimental WW2 catapult | MOLA

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