東大、光刺激のみによって流動/非流動状態を切り替えられる高分子物質の開発に成功

網目状ポ リジメチルシロキサンの入れられたサンプルボトルを倒立させて UV を照射した実験の写真

東京大学は2017年9月11日、光刺激のみによって流動/非流動状態を切り替えられる高分子物質の開発に成功したと発表した。

光刺激によって流動/非流動状態を制御可能な物質は、従来光応答性低分子物質の融解/結晶化を利用したり、ゲルのような溶媒を必要とするものがほとんどであった。しかし、低分子物質は高分子物質のように側鎖を自由に設計することで様々な機能を持たせることができず、ゲルのような溶媒成分は、蒸発して徐々に性質を変化させてしまうという問題があった。

また、ごく最近、側鎖に光応答性部位を持つ高分子に光刺激を与えると、ガラス転移温度が変化し、それに伴って流動/非流動状態を制御できることが報告されている。しかし、この物質は制御のために側鎖を利用しているため、側鎖の改変によってさらなる機能性を施す余地がなくなってしまう。

そこで今回の研究では、高分子形状を繰り返し組み替えるという方法で上記のような問題を克服。高分子側鎖を改変することで親水性や撥水、撥油性などのさまざまな機能を持たせることもできるようになるという。

同研究は、自然界のナマコには、海水から取り出されて力学的刺激を受けると流動し、また海水に入れると非流動状態に戻るようなものがいることに着目し、それらを人工の物質でも模倣できないかと考えたところから着想を得ている。

今後はより大きな粘弾性の変化を生み出すように改良し、UVペンライトによって思い通りに特定の部分のみを再造形できる3Dプリンター用素材や、光に応答して着脱する接着剤などへの展開が期待されるという。

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