NTNは2024年5月17日、電気自動車(EV)などで使用されるe-Axle向けに、優れた導電性を持つゴムシールでEDM電流による電食を防ぐ導電軸受を開発したと発表した。同社はこれまで、循環電流対策として「絶縁被膜付き軸受」や「樹脂モールド絶縁軸受」などの絶縁アイテムを開発してきたが、EDM電流対策を施した軸受の開発で、e-Axle用軸受の電食を防ぐのに必要なすべての電流への対応が可能になった。
モーターとインバーター、減速機の3つが一体化したe-Axleは、軸受内部に電流が通過した際にスパークが発生して金属組織が溶融すると、はく離などの損傷につながるため、軸受には電食対策が求められる。
対策が必要な電流には、モーター軸を通過するEDM電流とモーター内を循環する循環電流の2種類があり、EDM電流は運転時にモーター軸に電圧変動が生じることで発生する。一方、循環電流はインバーターの制御のために電源のオン/オフが繰り返された際、モーター内に電流が漏れ出すことで発生する。これらの電流が軸受の軌道面に通電すると電食の原因となる。
既に循環電流対策の軸受は製品化されており、今回はEDM電流に対応する軸受を開発した。電流がゴムシールを介して通ることで、軸受軌道面への通電による電食の発生を抑える。軸受に導電ブラシなどの別の導電部品を取り付ける対策に比べ、軸受の構成部品そのものに導電性があるため、その分スペースを確保できる。
同社は5月22日~24日からパシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA」で、今回の導電軸受をはじめ、耐電食軸受を出展する。