大手の若手技術者、理数系の基礎学力が低下しているとの指摘

神戸大学社会化学系教育研究府の西村和雄特命教授が率いる研究グループは2015年12月2日、国内大手企業の若手技術者に対して実施した基礎学力調査の結果を「科学教育in 京都2015」で発表した。理数系の学力が低下していることを浮き彫りにしたと報告している。

同調査の対象は、東証一部上場の製造業9社に勤める若手技術者1226人。数学・物理・化学・電気の基礎問題11問を出題したところ、平均点が56.66点に留まった。

平均得点が高い人には、高校時代に数学Ⅲや物理を履修した人が多かった。また一般入試で大学に入学した人は、AO入試や推薦入試で入学した人よりも平均得点が高かった。

こうした結果を受けて、西村教授は「数学Ⅲや物理を学ばずに大学に入ってくる学生が増えている。機械工学の4大力学が必修でなくなるなど、大学のカリキュラムにも問題がある」と問題提起した。

また西村教授は「問題の多くは高校で習う初歩的な内容。中学入試でも出題され、優秀な小学生なら正答する」と基礎問題11問についてコメントしているが、その中に含まれていた「9―3÷1/3+1」について、エンジニアのネットユーザーからは「こんな割り算記号とスラッシュが混在してるクソみたいな引っ掛け問題、業務で仕様書に書かれてたら括弧の位置確認する(場合によっては問い詰める)レベルだわ。四則演算の優先順位を問う事に意味がないとは言わないけど問題が酷い」「『四則演算の演算順序』を問うだけの問題ならそれは暗記問題だろ.暗記偏重じゃダメなんじゃなかった?」などの反論も飛び出している。

同問題については「1/3」という表記が問題になりそうだが、Webサイトで記事を記載する都合上、「1/3」という分かりにくい表記になっていた可能性が高そうだ。同様の問題について言及した中部経済連合会の資料では、次のような表記で出題した結果、80年代に80%以上あった正解率が2007~2009年入社の若手社員では50%以下にまで落ち込んでしまっていると指摘している。

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