水とガラス基板上の電極薄膜だけで構成される光変調器を開発――光変調器の低コスト化が実現 東京理科大

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界面ポッケルス効果を利用した、光変調の取り出し

東京理科大学は2019年11月20日、水の界面上で発生するポッケルス効果から巨大な光変調信号を取り出す方法を発見したと発表した。

ポッケルス効果は、物質に電圧が加わった時、物質内部の分極率が変化し、屈折率が変化する現象だ。屈折率はこのとき、加わる電圧に比例し、ポッケルス係数と呼ばれる比例定数が大きいほど、より高いポッケルス効果が生じる。一方、現代の生活に欠くことのできない光デバイスには、音声や画像などの電気信号を光信号に変換する光変調器を必要とする。しかし、現在使用されている光変調器のほとんどは、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)など、比較的高価な電気光学結晶を必要とするため、より安価な代替技術の開発が望まれていた。

このような現状から、研究グループの徳永英司教授は、ポッケルス効果の研究に継続して取り組んできた。2007年には、水に巨大なポッケルス効果が存在することを世界で初めて発見。電解液と固体電極の界面に生じるポッケルス効果は、電気二重層と呼ばれる界面から厚さ数ナノメートルほどの荷電粒子によって形成された層で発生することを明らかにした。しかし、ここでのポッケルス効果は、非常に薄い層内でしか発生しないために検出が難しく、より巨視的なスケールで光の変調を取り出せる実験方法が求められていた。

そこで、研究グループは今回、光が全反射するときに面の逆側に染み出すエバネッセント光に着目。水によるポッケルス効果を受けたエバネッセント光を介在することで、このポッケルス効果による光強度の変調を検出できると考えた。実験では、ガラス基板上に電極薄膜として無色透明なITO(酸化インジウムスズ)およびTCO(透明導電性酸化物)を製膜。対極には白金板を採用し、両者をNaCl水溶液中に浸した。この状態で白色光を入射させながら、振幅1~5V、223Hzの条件で交流電圧を加えて、光変調の度合いを測定した。

その結果、厚さ400nmのTCOでは、波長675nm前後の狭い帯域で最大50%の変調を観測。また、厚さ330nmのITOでは、強度の変調は波長575nm前後で最大となることが分かった。この結果は、電極の膜厚や素材を変えることで、変調が起きる光の波長を制御できることを示しているという。なお、理論的には、100%の変調も可能だとしている。

研究グループによると、この研究の成果は、光通信、ディスプレイ、界面センサーなど、様々な分野に応用できるという。また、厚さがナノオーダーと非常に薄いため、マイクロ流路や細胞など、微小領域の計測技術として、多様な分野での応用が期待できると説明している。

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