町工場の10年に渡る挑戦、鳥インフルエンザ対策用ネズミ侵入防止ネット「ネズサル」

メッシュ(網)の開発・製造企業くればぁは2017年1月12日、鳥インフルエンザの不活性化を可能にするネズミ侵入防止ネット「ネズサル」を開発したと発表した。同製品の研究・開発には10年に及ぶ歳月を要したという。

くればぁは、愛知県豊橋市内にある町工場だ。ウイルスを不活性化させるマスクの開発・製造に取り組み、エボラ出血熱が蔓延していたギニア・リベリア・コンゴに1万枚寄付し、2015年にギニア政府から感謝状をもらった実績がある。

ネズサルの開発者である中河原 毅氏は、鳥インフルエンザに感染した養鶏所の鶏や動物園の動物への対策が殺処分しかないことにやるせない気持ちを抱えていた。また、畜産農家や動物園の方たちから「殺処分だけは防ぎたい!」という切実な思いを聞いていた。

そこで、鳥インフルエンザウイルスを養鶏場や動物園に持ち込むネズミに着目。マスクに用いていたウイルス不活性化技術を用いるとともに、ウイルスに感染したネズミを退避させる成分を練り込み、ネズサルという鳥インフルエンザ対策用ネズミ侵入防止ネットを完成させた。

ネズサルにおけるウイルスの不活性化は、ネズミがネットに接触した瞬間から始まる。鳥インフルエンザウイルス不活性化試験に用いられるMRSA(同等とされる細菌)に対して、99%以上の不活性化効果があることが試験で確認されている。

ネズミ退避用の成分としては、人間が舐めても安全な消毒薬のほか、ネズミの嫌うカプサイシンやハーブなどを活用。ネットをかじったネズミの99%を退避させられるばかりか、アライグマ、コウモリ、イタチ、猫、ハクビシン、タヌキなどの侵入も防止できる。

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また、ネズサルはハサミでカットできるため、鶏舎の壁面、搬送ベルト、排水溝などのさまざまな場所へ設置可能。コードに巻き付けることで、天井裏に入ったネズミがコードをかじることによる破損事故を防ぐこともできる。

ネズサルは日本だけでなく、鳥インフルエンザが大きな問題となっている韓国からも注文が殺到。現在1カ月待ちの状況だ。

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