NOKは2017年3月21日、自動車用自動変速機(AT/CVT)に使用される回転用低トルクシールリング「TS-Ring」「CT-Ring」の2種を開発したと発表した。それぞれ動圧作用や外周面しゅう動により低トルク化を実現している。これは世界初だという。
TS-Ringは、しゅう動面にテクスチャー(シール媒体である油を供給する形状)を付与し、相手面の粗さを管理することで流体潤滑域でのしゅう動を実現。流体(油膜)が相手しゅう動面との間に形成されることで動圧が発生し、摩擦係数が低減する。
この技術により、同社従来品と比べて最大80%の低トルク化を実現しているという。また、油膜により相手面との直接接触が減ることで、耐久性も向上する。
CT-Ringは、外周面しゅう動のシールリング。一般的にはシールリングのしゅう動は側面だが、シール性を維持するためには「はみ出し隙間」(相手面の寸法)以上の「受圧面積」が必要となる。CT-Ringは断面形状を凸字断面にして外周面をしゅう動面とすることで、はみ出し隙間の大小に左右されずに押し付け荷重の低減を図ることができる。
これにより、同社従来品と比べ、最大70%の低トルク化を実現。また、横方向のスペースを縮小できるようになり、AT/CVTのレイアウト設計の自由度も向上した。さらに、溝側面としゅう動しないため、軟質軸にも適用できるという。