人工知能(AI)の発展や活用事例のニュースを耳にすることが多くなってきた。そう遠くない将来、AIが人間の労働力に取って代わり、一部の職が無くなってしまうという予測も出てきている。
ただこれまでの歴史を振り返ってみると、時代の流れとともに職種は変化してきている。例えばおよそ200年前、アメリカの約90%の労働力は農業に携わっていた。それが2008年までには、農業従事者は2%未満にまで減少し、過去には想像もできなかったSEOアナリストやソフトウェアエンジニアという職種が誕生した。
こうした将来の職種について考察したレポート「The Future of Jobs」を世界経済フォーラムが発表した。同レポートでは、現在小学校に入学する年齢層の子どもたちの65%が現存しない新しい職種に就業すると予測している。
将来の職の予測とその備え
世界経済フォーラムは、5万人以上の従業員を抱える大企業から500人程度の中小企業までを対象に、15の地域にわたって調査した。さまざまな角度から「将来の職」を分析、将来の職の在り方を予測し、それに対する備えを提唱している。
例えば、向こう5年の職種別の採用増減について、傾向を分析。事務職や管理職はインターネットやクラウド、ビッグデータ解析などのテクノロジーが普及することで減少していくと見込んでいる。逆に、コンピューターや数学を駆使する職種は大きな需要があると予測。ビッグデータの分析や、データを視覚化するツールの活用といった業務を担える専門家の需要が増えそうだという。
また同レポートでは、前述のとおり子どもたちの65%が現存しない新しい職種に就業することになるが、そうした職種は技術やソーシャルに精通し、分析力を備えて横断的に役割を果たす能力が必要になるという。
しかし既存の教育システムのほとんどは、前世紀の慣習を引きずってしまっている。企業は政府や教育者たちと連携して、21世紀のカリキュラムはどのようなものが望ましいか、想像していくべきだと提言している。