- 2017-10-16
- 技術ニュース, 機械系, 海外ニュース
- Anto Studio, CFD(Computational Fluid Dynamics:数値流体力学), テラコッタ(素焼き), ハニカム構造
インドの夏はとても暑く、各地で50℃を越えたというニュースを耳にすることも多い。ニューデリーの建築会社Anto Studioは、この問題に対する安価でエコ、そしてアートな解決策として、伝統的なテラコッタ(素焼き)を利用した冷却設備を考案、ニューデリー近郊にある電子部品メーカーの工場に設置した。
工場の壁に設置されたこの冷却設備は、素焼きの筒を蜂の巣状に束ねたハニカム構造をしている。ハニカム構造の上部から工場でリサイクルされた室温の水を散布、素焼きの筒表面で気化させることで内部を通過する空気を冷却する仕組みだ。ここを通過する空気の実測値は、温度50℃以上、風速毎秒10メートル。プロトタイプを使った実験では、50℃の空気を毎秒4メートルで通し、36℃まで冷却できたという。
水の気化熱を利用して素焼きの壷の内部を冷やす方法は古代エジプト時代から使われているが、Anto StudioではCFD(Computational Fluid Dynamics:数値流体力学)解析により最適な形状のテラコッタを決定、ハニカム構造にすることで、最大の冷却効果が得られるとしている。
インドでは電力事情により、ビル屋外のセットバック部分に自家用発電機を置き、一定時間だけ稼働させるのが一般的だ。この省エネタイプの冷却設備は1日に2回散水すればよく、高温で湿度の低い地域にある工業施設に設置するのに適している。同社は、屋内の冷却への適用方法の検討を含め、試験を続けている。
関連リンク
Echo-Friendly Low Energy Cooling Installation for Industries