日本精工は2018年2月21日、自動車の変速機向けに、グローバルでの生産に適した「長寿命転がり軸受」を開発したと発表した。転がり軸受の小型・軽量化を可能にする製品だ。
自動車変速機の小型・軽量化のため、変速機内で使用される転がり軸受にも小型・軽量化が求められている。しかし、軸受を小さくすると耐久性が低下し、損傷が生じやすくなる。損傷には、潤滑油中の異物を噛み込むことで形成される圧痕を起点とした圧痕起点型はく離が多く、これに対する耐久性の向上が重要となる。
日本精工ではこれまで、圧痕起点型はく離対策仕様の軸受を開発してきたが、これまでの製品は長時間かつ特殊環境での熱処理技術や同社オリジナル材が必要で、海外での現地生産が困難という課題があった。今回の製品は、グローバルで調達が容易なISO規格鋼をベースに材料を開発しており、現地調達が可能になっている。また、特殊な熱処理技術を必要とせず、温度コントロールで必要な寿命を確保しており、生産時の使用エネルギーも削減できる。
さらに、圧痕起点型はく離寿命が標準軸受の1.5倍に延びるため、小型・軽量化が可能となり、標準軸受に比べ約20%軽量化できる。また、圧痕起点型以外のはく離(材料内部の非金属介在物及び材料内部に侵入した水素の影響によるはく離)に対しても、長寿命を実現する。長寿命軸受のラインナップ拡充により、顧客の要望に応じて最適な軸受を選定できるようになった。
同社では、グローバルでの生産が容易で、自動車変速機の燃費・電費向上と製造時の省エネルギーに貢献する製品として、2023年に20億円の売上げを目指すという。