明電舎は2020年4月6日、温室効果が高いSF6ガスを使用しない145kVタンク形真空遮断器を開発し同月より販売すると発表した。同社によると世界初となる。
真空遮断器は、落雷などで送電網に大量の電気が流れ込んだ場合、大規模な事故や停電が起こらないように、電気の流れを一時的に遮断する機器である。
同社によると、電力設備老朽化による更新需要の増加や、温室効果の高いSF6ガスの規制強化により、環境負荷の低い真空遮断器の国内外での需要が増加傾向にある。同社ではSF6ガスを使用しない72kV級タンク形真空遮断器を2004年に開発、市場へ投入し2000台以上の納入実績がある。今回同一のコンセプトで145kV級を開発した。
本製品は、SF6ガスを使用しないために環境負荷が低く、機器破棄の際のガス回収作業も不要になる。その他、乾燥空気の液化温度が低いため、寒冷地でも液化防止ヒーターが不要であったり、内部点検が不要なためメンテナンスコストが抑制されるなどの特徴を持つ。また、外部部材がアルミニウムなので、過電流損失が小さくメンテナンス時の補修塗装も不要である。
主な仕様は,定格電圧:145kV、定格電流:2000/3000/3150A、定格遮断電流:40kA、絶縁媒体:乾燥空気、操作方式:電動ばね、碍管:磁器/ポリマー、適用規格:ANSI、IEC、JEC(JECの場合は定格電圧120kV)となっている。