屈折率を光で制御——京大、ハロゲン化金属ペロブスカイトの新しい光機能を解明

有機溶媒中で結晶化したハロゲン化金属ペロブスカイト。光を照射することで大きな屈折率変化を引き起こすことを発見。

京都大学は2018年3月28日、同大学の田原弘量化学研究所助教らの研究グループが、ハロゲン化金属ペロブスカイトに光を照射することで大きく屈折率が変化することを発見したと発表した。この屈折率変化を利用してレーザー光の偏光を制御する実験にも成功している。

ハロゲン化金属ペロブスカイトは、溶液塗布によって結晶化する物質で、薄膜太陽電池の研究を中心として様々な研究が行われている。また、高い発光効率を示すことから発光ダイオードなどの材料としても研究されている。それに伴い、受光(太陽電池)や発光(ダイオード)についての研究は行われてきているが、光を照射したときの特性の変化については、これまで明らかになっていなかった。

同研究グループでは、このハロゲン化金属ペロブスカイトの単結晶に対してパルス光を照射したときの屈折率の変化を測定した。液晶テレビや光通信では「電場」によって屈折率が変化する現象を利用するが、「光」によって屈折率が変化する現象はフォトリフラクティブ効果と呼ばれ、さまざまな物質で研究が行われてきた。今回の研究では、ハロゲン化金属ペロブスカイトがフォトリフラクティブ効果を示すことを世界で初めて明らかにした。

さらに、この屈折率の変化を利用してレーザー光の偏光を回転させる実験に成功。ハロゲン化金属ペロブスカイトの光通信デバイスなどへの新たな利用法を示した。

ハロゲン化金属ペロブスカイトは溶液塗布で簡便に薄膜結晶を作製でき、成型や加工の自由度が高い。同研究グループでは、今回の成果は光通信に用いられている光変調器や光スイッチなどの小型化につながると期待されるとしている。

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