- 2018-4-6
- ニュース, 機械系
- モルディブ共和国, 沖縄科学技術大学院大学(OIST), 波力発電, 波力発電プロジェクト
沖縄科学技術大学院大学(OIST)は2018年4月5日、モルディブ共和国環境エネルギー省 (MEE)および公共建物株式会社と、モルディブにおける波力発電プロジェクト着手に向けた覚書を取り交わしたと発表した。持続可能なエネルギー供給と二酸化炭素排出量削減のため、モルディブに波力発電機の試作機を導入し実験を行うという。
OIST量子波光学顕微鏡ユニットを率いる新竹積教授は、2013年にスタートした波力発電プロジェクトの一環として、海岸線に押し寄せる波のエネルギーを電気に変換している。砕け散る波の力に耐え得るよう、発電機のブレードのデザインと素材はイルカの尾ひれからヒントを得ており、支柱は花の茎を模して柔軟性を持たせているという。発電機を平均海水面に設置することで、波のエネルギーを効率的に取り込めることも大きな特徴だ。
モルディブは約1200もの島々からなる群島国家であり、大きな発電所も島々を結ぶ送電線もない。現在は、それぞれの島で化石燃料を燃やしてエネルギーを得ており、新たな発電方法が求められている。さらに南極からインド洋全体に伝播してくる波を利用するのに適した場所でもある。ハリケーンや台風地域にも入っていないため、極端な気象による発電機の損傷が抑えられるというメリットもある。
まずは2018年4月中に、直径35cmのタービンを備えた1/2サイズの波力発電機試作機を2台設置する。この試作機のブレードは予定されている柔軟な設計ではなく、高強度アルミニウム合金のジュラルミンで作られている。研究チームはホテルの発電室に電力計測器を設置し、日本からも発電量をインターネット経由で観測する予定だという。
この最初の実証実験の後、9月には直径70cmのタービンを備えた実物大試作機モデルの発電機を2台設置する予定だ。長期的にはモルディブ中に、量産機を多数導入することを検討しているという。