関大とシャープ、空気中の湿気を液体の水に変えることができるスマートゲルを開発――従来の原理とは異なる除湿システムを実現

温度応答性ゲルによる吸湿と滲み出しのコンセプト

関西大学とシャープは2018年6月22日、空気中の湿気をわずかな加温によって液体状態の水として集めることができるスマートゲルの開発に成功したと発表した。

高分子ゲルは、食品や紙おむつ、コンタクトレンズなど身の回りに利用されているだけでなく、医療分野などの最先端材料としても世界中で研究されている。中でも、温度やpHなどの環境変化に応答するスマートゲルは、次世代薬物放出やセンサー、再生医療への応用が期待されている。

一方、ゼオライトやシリカゲルなどの乾燥剤は、人々の快適な生活に役立ってきた。しかし、これらの乾燥剤では、湿気を直接液体の水に変えることはできず、多量のエネルギーを消費して、吸湿後に高温で加熱し、さらに蒸発した水を凝縮して集める必要があった。

通常の乾燥剤を用いた除湿機のプロセス

しかし、今回開発したスマートゲルでは、空気中に存在する気体状態の水を吸湿するだけではなく、少し加熱するだけで液体状態の水に変化させることができる。それは、このスマートゲルが温度応答性成分を含み、この成分が32℃付近で親水性から疎水性へと変化するユニークな性質を持つことから生じる。実際、吸湿したゲルを50℃に加温すると、ゲル表面から液体状態の水が滲み出て、液体状態の水を直接回収できる。また、温度変化によって吸湿と滲み出しの繰り返し操作も可能で、空気中の湿気を液体の水として繰り返して回収することにも成功した。

研究グループは、この成果により、新しいタイプの除湿システムの設計が可能になるとしている。また、快適な生活につながる省エネルギー技術として、除湿関連だけではなく、さまざまな生活の環境調節に利用されることが期待できるとしている。

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