- 2019-10-10
- ニュース, 化学・素材系, 技術ニュース
- PCP(Porous Coordination Polymer), エポキシド, トリフェニルアミン, 中国江蘇師範大学, 亜鉛イオン, 京都大学, 多孔性材料, 有機分子, 東京大学, 環化付加反応, 研究, 細孔, 金属イオン
京都大学は2019年10月9日、東京大学や中国江蘇師範大学と共同で、選択的に二酸化炭素をとらえて有用な有機分子に変換できる多孔性材料を開発したと発表した。
活性炭やゼオライトに代表される多孔性材料は、多くの細孔が空いている材料で、吸着/分離/貯蔵といった様々な目的で利用されている。なかでも、有機分子と金属イオンから構成されるPCP(Porous Coordination Polymer)は、細孔の構造を設計でき、有用な機能を付与できることが知られている。
そこで、研究チームは今回、トリフェニルアミンから作成したプロペラ形状を持つ配位子と亜鉛イオンから新たなPCPを開発した。このPCP中のプロペラ部分は、ゲートの役割を果たし、この部分が回転することで選択的に二酸化炭素を通過させ捕捉できる。さらに、細孔には、触媒能を持つ金属イオンが規則的に配置。取り込んだ二酸化炭素を原料として触媒反応を起こせる。また、二酸化炭素を取り込む反応は、付加反応であるため副生成物を生じず、有機溶媒も用いないことから環境負荷が少ないという。
実際に、この材料をエポキシドへの二酸化炭素の環化付加反応に用いたところ、触媒回転数が39000を超える高効率な触媒として機能することがわかった。また、エポキシドの種類を変えることで、10種類の有機分子を生成することにも成功している。
研究チームは、この多孔性材料により、二酸化炭素を有用な炭素資源へと変換できる技術の実現に近づいたと説明している。