NASAの静音超音速実験機「X-59」、2024年に居住地域上空での飛行試験を計画

アメリカ航空宇宙局(NASA)は、音速を超えるスピードで飛行しながらソニックブームによる騒音を低減するように設計された航空機の開発に力を注いできた。2022年3月22日付のブログ記事で、2024年初頭に静音超音速実験機「X-59 QueSST(Quiet SuperSonic Technology)」を、実際に人が暮らす地域の上空で試験飛行し、静音性の検証を行う予定であることを明らかにしている。

米カリフォルニア州シリコンバレーにあるNASAエイムズ研究センターは、数十年にわたって超音速飛行の研究をしており、可視化技術による衝撃波の研究、スーパーコンピューティング施設、システム工学など、複数の分野にわたってX-59の独自設計に取り組んできた。

X-59機体設計の最終段階では、エイムズ研究センターが開発した3Dシミュレーション・ソフトウェアを使用。計算流体力学に基づくシミュレーションによりX-59のコンセプトを視覚化し、航空機のどの部分が超音速飛行による騒音の原因となる衝撃波を発生させるかについて検証してきた。

また、2021年に全長19インチ(約480mm)のX-59小型模型を用いて、NASAグレン研究センターの超音速風洞で試験を行っており、2022年に日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)で実施される超音速風洞試験の結果と比較する予定だという。

NASAは、2024年初頭にX-59 QueSSTを特定地域の上空を飛行させる予定で、飛行時に発生する「静かな騒音」を一般市民がどう感じるかについて情報を収集し、2027年にその結果を国際民間航空機関(ICAO)やアメリカ連邦航空局(FAA)などに提供するとしている。

その情報を基に、陸上での超音速飛行に関する規制が緩和されることになれば、近い将来、民間の超音速移動による新たな商業貨物市場や旅客市場が生まれるかもしれない。

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Ames’ Contributions to the X-59 Quiet SuperSonic Technology Aircraft

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