- 2019-11-4
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- John Gabrieli, ストレス, マインドフルネス, マインドフルネストレーニング, 米マサチューセッツ工科大学(MIT)
周りで起こっている事柄や、過去や未来への思いに気をとられるのでなく、今、この瞬間の自分自身に意識を集中しようとする「マインドフルネス」という考えが、近年注目されている。米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが最近発表した2つの論文によると、マインドフルネスは大人だけでなく子供たちにとってもストレスの低減や成績の向上に効果があるという。
「定義によれば、マインドフルネスとは、周りの事柄や内面の考えによって気をそらされることなく、現在の瞬間に注意を向けることができる能力のことだ。先生や宿題といった目の前のものに集中することは勉強に良い結果をもたらすはずだ」と、脳科学と認知科学の教授であるJohn Gabrieli氏は語る。
一方の研究では、研究チームはボストンのチャーター(認可)スクールの6年生、約100人を対象に実験を実施した。8週間にわたり、半数はマインドフルネストレーニングを、もう半数は別の授業を受けた。このマインドフルネストレーニングは、瞑想中には呼吸に注意を払い、過去や未来についての考えよりも現在の瞬間への集中を促すものだった。
トレーニングを受けた生徒はストレスレベルが低下したが、トレーニングを受けてない生徒は下がらなかった。また、トレーニングを受けた生徒からは、悲しみや怒りといったネガティブな感情も減少していた。さらに、マインドフルネスは、脳の中でも恐れなどの感情をつかさどる扁桃体の動きにも影響することも判明した。これらの結果から、マインドフルネストレーニングは、強いストレスとつながる気分障害の予防や軽減に効果があるだろうと、研究者らは指摘する。
もう一方の研究では、5~8年生(日本の中学2年生)2000人以上を対象に、アンケートによってマインドフルネス度を評価した。評価結果を生徒の成績、統一テストの点数、出席率、停学回数などと比較したところ、マインドフルネス度の高い生徒ほど、成績やテストの結果が良く、欠席や停学が少ない傾向にあることが分かった。
「マインドフルネストレーニングは、ジムに行くようなものだ」とGabrieli教授は語る。「心のエクササイズの一種であり、ずっと続ける必要がある」という。今後は、調査対象を全学年に広げ、より多くの学校の生徒を対象として、マインドフルネストレーニングの長期的な効果を調べたいとしている。
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