- 2020-5-3
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- Bluetooth, GPS, ICタグ, PLOS Biology, ウェイクアップレシーバー, オハイオ州立大学, コウモリ, 加速度計, 近接センサー
オハイオ州立大学の研究チームは、小型の野生動物の行動を把握するため、軽量小型のICタグを開発した。GPSの信号が届かない場所の情報も収集可能で、動物の生態がより分かるようになる。研究結果は、2020年4月2日付けの『PLOS Biology』に掲載されている。
野生動物の自然界における振る舞いと社会ネットワークを把握するために、研究チームは、体長3.5インチ(約9g)、重さ1~1.5オンス(約28~43g)の吸血コウモリを選んだ。コウモリの背中に貼り付けたタグは、加速度計や近接センサー、Bluetoothを搭載しつつ、重量は1セント硬貨(約2.5g)以下と軽量で、消費電力も非常に少ない。約2週間で自然に剥がれ落ちるため、コウモリへの負担も少ないとしている。
コウモリの動きや飛行ルートのデータは地上の基地局が受信する。必要な時だけ電源が入るウェイクアップレシーバーも採用した。テストでは、50匹のコウモリにつけたタグから、2週間で約40万件のデータを受信できた。洞窟の中など電波が届かない場所のデータも収集するため、GPSと組み合わせて広域の追跡ができる。
たとえば、吸血コウモリと家畜にこのシステムを適用すると、コウモリが媒介する病原体の広がりを把握できる。コウモリだけでなく、鳥類、げっ歯類、爬虫類、両生類にも適用可能だ。研究チームは、ドイツの鉄道設備が保護動物に与える影響を調べる計画も立てている。
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