スマートウォッチを生化学ヘルスモニターシステムへと変える粘着フィルムを開発

Yichao Zhao/UCLA

UCLAの研究チームは、スマートウォッチを生化学的なヘルスケアモニタリングシステムにアップグレードできる粘着フィルムを開発した。汗に含まれる代謝物や栄養素を検出し、リアルタイムでスマートウォッチに表示できるというもので、研究の詳細は『Science Advances』誌に2020年3月20日付で掲載されている。

一般的なスマートウォッチは、歩数や睡眠時間、心拍数、血圧などを測定、記録する機能を備えており、スマートフォンや他のデバイスと連携して、長期間の健康状態を記録することも可能だ。

今回研究チームは、スマートウォッチの裏面に貼ることのできる使い捨ての両面フィルムを開発した。このフィルムは肌に触れる面で汗の中にごく微量に含まれる生化学分子を検出し、スマートウォッチ側の面では検出した化学信号をスマートウォッチに表示するための電気信号に変換する。検出する分子は、体の代謝レベルを示すグルコースと乳酸、コリンなどの栄養素だ。

センサーを両面接着剤と垂直導電性フィルム上に形成することで、外部コネクターは不要となり、一般的な電子機器に簡単に取り付けられるだけでなく、ユーザーの動きを制限しないというメリットがある。

研究チームは、今回はこのシステムで動作するスマートウォッチと専用アプリを製作したが、将来的には一般的なスマートウォッチにも適用可能だとしている。

開発したスマートウォッチを、デスクワークしている人やボクシングのような激しい運動をしている人を対象にテストしたところ、さまざまな場面で効果を発揮した。フィルムの粘着性は十分であり、リストストラップなどをつけなくても1日中密着させることが可能だった。

研究リーダーであるUCLAサミュエリ工学部助教授のSam Emaminejad氏は、ウェアラブル技術を用いて汗から指標分子を検出する研究を主導しており、今回の研究結果は、その技術を広く応用できる可能性を示すものだといえる。

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