空中ドローンや水中ロボットなどの自律型無人機を使った海底ごみ収集プロジェクト

loops7/iStock

独フラウンホーファーCML(海運ロジスティクス・サービスセンター)は、EU内の複数の大学や公的機関などと提携して、海底ごみ収集を目的とした「SeaClear」プロジェクトを2020年1月から進めている。

海洋汚染は最も重要な地球規模の問題の1つで、毎年8600万トンのプラスチックが海に排出されている。広大な範囲の海面を覆う浮遊プラスチックは氷山の一角にすぎず、その約90%が最終的に海底に堆積する。

そこでSeaClearプロジェクトは、特に汚染が深刻な沿岸地域では、まず海底清掃に注力するとしている。SeaClearでは、相互接続したさまざまなロボット車両を利用している。自律あるいは遠隔制御式の母船である無人水上艇を、遠隔操作型無人探査機の水中ロボット2台と空中ドローンなどの無人航空機1機でサポートするという構成になっている。異種ロボットを制御するマルチエージェント制御方式を使用し、自律的に動く機体全てを同時に操作する。

水中ロボットと空中ドローンが水面や水中にあるごみの位置を分析して地図を作り、もう1台の水中ロボットがその情報を利用して、独自設計グリッパーと吸引装置を使って海底にあるごみを収集して捨てる。また、深層学習アルゴリズムにより、ごみを海洋動植物と区別して検知する。

プロジェクトは、2020年9月1日時点で、水深20~30mの沿岸部2カ所で技術試験を行っている。1カ所はドイツの工業地帯にあるハンブルグ港、もう1カ所は観光地であるクロアチアのドブロブニクだ。ハンブルグ港の水は濁っていて水中の視認性が悪く、分析するのが非常に難しいという課題がある一方、ドブロブニクの水はきれいでシステム検証に適しているが、一般人のアクセスを制限できないという問題がある。チームは、安全対策を講じて試験を進め、堅牢性やシステムの各機能をさらに向上させて、市場に投入可能な状態にしたいと考えている。

プロジェクトでは、終了後に、ハンブルク港湾局とDUNEA(ドブロブニク地域開発局)がシステムを運用し、使用することを目標としている。

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