LiDAR向けに低ノイズアバランシェフォトダイオードを開発――安全で高出力なレーザー光を実現

バージニア大学とテキサス大学オースティン校の研究チームは、長波長感度、超低ノイズ、設計の柔軟性を実現したアバランシェフォトダイオードを開発した。LiDARに使用した場合、目の損傷リスクを伴わずに高出力での作動が可能になる。次世代のナイトビジョンイメージングやLiDARレシーバーを変革する可能性がある技術で、研究成果が2020年5月18日、『Nature Photonics』に掲載された。

ロボット工学、自動運転車、広域監視、地形マッピングといった多くのLiDARアプリケーションには、遠くの物体から反射されてくる大きく減衰した光信号を高解像度で検出する必要がある。しかし、レーザー出力を高めることで、視認した場合の目の損傷リスクを高めてしまう。そこで開発されたのが、低ノイズで2μmのアバランシェフォトダイオードだ。

今回研究チームは、分子線エピタキシーを利用して、アルミニウム、インジウム、ヒ素、アンチモンから成る合金を成長させた。この合金は、長波長感度、超低ノイズ、そして低暗電流を実現するために必要な設計の柔軟性を兼ね備えている。結晶成長プロセスを単一原子スケールまで制御することで、自然界ではありえない結晶を合成し、効率的な光検出に必要な、基本的材料特性の理想的な組み合わせを設計することが可能になった。

今回開発されたアバランシェフォトダイオードは、小型で高感度のLiDARレシーバーに最適だ。これまでのLiDARよりも長波長である2μmのウィンドウは目に安全なため、高出力化により検出範囲を拡大できる。この高感度検出器によって、多くの主要技術に影響を与える可能性があるとしている。

研究チームは、IQEによるファウンドリとロッキード・マーティンによるフォトダイオードアレイ開発のためにこれまでの研究を譲渡し、今後は室温付近での低ノイズ動作の実現、動作波長の赤外線への拡張、単一光子レベルへの感度の向上に専念するとしている。

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Team’s Fabrication Process Achieves Long-Wavelength Sensitivity, Ultra-Low Noise and Design Flexibility

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