MIT、熱でコロナウイルスを不活性化する加熱式マスクを開発

米マサチューセッツ工科大学(MIT)は、2020年10月21日、熱でコロナウイルスを不活性化する加熱式マスクを開発したと発表した。マスクには銅製のメッシュが組み込まれており再利用が可能で、加熱される銅メッシュは電池で稼動する。このメッシュ部分は絶縁性ネオプレンに覆われているので顔面がやけどする心配はない。本研究の詳細は、2020年10月21日付で論文投稿サイト「arXiv.org」上で公開されているが、記事執筆時点ではまだ査読を経ていない。

このマスクを着用する人が呼吸すると、空気の流れは高温の銅メッシュを何度も通過することになる。高温のメッシュをウイルス粒子が複数回通過する過程でウイルスが不活性化される仕組みだ。より効果的な空気の流れになるように、マスクには逆流反応器(RFR)のアイデアが取り入れられている。

研究者らは、自然な呼吸によりマスクの内側へ、または、外側へと流れるウイルスを死滅させるために必要とされる最適な温度範囲を、数学モデリングを実行して決定したという。既存のマスクがウイルスを捕捉しブロックすることに主眼を置いているのに対し、マスクを通過させてウイルスを不活性化させるという点は全く新しい発想だ。

計算によると、メッシュの温度が約90℃の場合、ウイルス粒子を1000分の1~100万分の1減少させることができることが判明。そして、小型バッテリーを用いて、0.1mm厚の銅メッシュや熱電ヒーターに電流を流すことができ、温度を約90℃に保てることを実証した。試作品では9Vバッテリーが使用されており、マスクを数時間加熱するには十分な電力を供給し、吸入する空気の冷却もできる。

加熱式マスクは布マスクやサージカルマスクよりも高価になるが、曝露リスクが高くコストがそれほど気にならない状況では有用かもしれない。研究者らは既にマスク設計の特許を申請中で、今後プロトタイプのテストを始める予定だという。

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